EU
【ポイント】
EUでは2026年に新たなNGT(new genomic techniques 新ゲノム技術)規則が成立し、2028年から適用されます。自然変異や従来育種で生じ得る小規模なゲノム編集植物(NGT-1)は、確認手続のみでGMO規制の対象外となり、市場投入が容易になります。一方、大規模改変や外来遺伝子導入、除草剤耐性などを有するNGT-2は、引き続き従来の規則(GMO指令)に基づくリスク評価や承認が必要です。EUは予防原則を維持しつつ、イノベーション促進との両立を図る制度へ移行しています。
【経緯】
EUでは2001年のGMO指令(Directive 2001/18/EC)によって遺伝子組換え作物(GMO)の環境中への意図的放出や市場での流通が規制されていました。2018年、欧州司法裁判所はゲノム編集生物もGMO指令の定義上のGMOに該当し、原則として規制対象となると判断しました。その上で欧州委員会に対し、新しいゲノム技術(new genomic techniques (NGTs))※1を規制上どのように位置づけるべきかを調査するよう求めました。欧州委員会は、NGTが持続可能な食料システムに貢献する可能性があるとして規制を見直すことし[1]、規制を緩和する新しい規則案(COM(2023)411)を2023年7月に提出しました。欧州議会およびEU理事会で審議され、2026年6月17日に採択されました(Regulation (EU) 2026/1388)[2]。新規則は2026年7月16日に発効し、2028年7月17日から適用されます。それまでの間は引き続きGMOに関する現行規則の対象となります。
【概要】
新たな規制では、NGT植物を2つのカテゴリーに分類しています。
この新しい規則の対象となるのは、植物に適用される特定のNGT(標的型突然変異誘発およびシスジェネシス)のみです。その他のNGT、遺伝子組換え植物、動物や微生物へのNGTは対象外であり、既存のGMO法規制の適用を受けます。
新制度の下では、すべてのNGT植物が高い安全基準を満たすことが保証され、必要に応じてGMO特有のリスク評価が実施されます。なお、NGT植物は有機農業での使用が認められません。
透明性の確保のため、NGT-1の種子やその他の植物繁殖材料への表示(農家の選択の自由のため)、NGT-2のGMOとしての表示、NGT植物に関する公開データベース、品種カタログへの情報掲載が行われます。
【参考資料】
[1] EC study on new genomic techniques
https://food.ec.europa.eu/plants/new-genomic-techniques/legislation-plants/ec-study-new-genomic-techniques_en
[2] EU legislation on new genomic techniques for plants
https://food.ec.europa.eu/plants/new-genomic-techniques/legislation-plants_en
[3] EU legislation on new genomic techniques for plants
https://food.ec.europa.eu/plants/new-genomic-techniques_en
(2026年10月9日更新)
