【おことわり】

本サイトでは、規制を所管する省庁(所管省庁)から出された公開情報をもとに、取扱いルールの要点を「わかりやすく」お伝えすることに重点を置いています。それぞれの取扱いルールや関連法規の詳細な内容については、所管省庁の資料やウェブサイト等でご確認ください。

環境(生物多様性)への影響の面での取扱いルール

我が国では、遺伝子組換え生物が環境(生物多様性)に悪影響を及ぼすことを防ぐ目的で、通称「カルタヘナ法」(遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律)が定められています。ゲノム編集技術を利用して品種改良された農作物などは、カルタヘナ法に定められた「遺伝子組換え生物等」に当たるかどうかで、この法律による規制の対象となるかならないかが決まります。

経緯

2018年、ゲノム編集技術を利用してできた生物のカルタヘナ法での取扱いルールが環境省の委員会で議論され、それを受けて、2019年2月に環境省から以下のような取扱いルールの方針が出されました。

環境省からの取扱いルールの方針

ゲノム編集技術を利用してできた生物

1. 他の生物の核酸(DNAまたはRNA)*1を導入していない生物
→規制の対象外

2. 他の生物の核酸(DNAまたはRNA)を導入していても、最終的にそれが残っていない*2と確かめられた生物
→規制の対象外

3. 他の生物の核酸(DNAまたはRNA)を導入していて、最終的にそれが残っている生物
→規制の対象

ゲノム編集生物に細胞外で加工した核酸が含まれないSDN-1*3/4に関しては、カルタヘナ法の規制対象外になります。規制の対象外となったゲノム編集生物については、所管省庁へ「情報提供」することとなっています(図1を参照)。

図1.カルタヘナ法におけるゲノム編集生物の取扱いルール

 

*1環境省の資料における表現は「細胞外で加工された核酸」

*2環境省の資料における表現は「移入した核酸またはその複製物が残存しない」

*3SDN-1については、当ウェブサイト内「ゲノム編集とは」の「ゲノム編集技術の分類(SDN-1~SDN-3)について教えてください。」をご参照ください。

*4SDN-2や3の場合でも、セルフクローニングやナチュラルオカレンスは規制の対象外となる可能性があります。規制に当たるかの判断は所管省庁が行いますので、事前相談を行ってください。

「情報提供」の流れ

① ゲノム編集生物の開発者は、使用(栽培など)する前に所管省庁と事前相談を行い、専門家により遺伝子組換え生物に当たるか判断されます。

② カルタヘナ法の規制対象外となった場合は、ゲノム編集生物の概要や形質の変化、他の生物の核酸が残っていないか、生物多様性に影響を与える可能性についてなどの情報を提出すること(情報提供)となっています。情報提供は義務とはされていませんが、情報を収集するために強く求められています。

③ 情報提供を行い、所管省庁が受理した後に、ゲノム編集生物は規制の対象外として利用することができます。情報提供された情報は日本版バイオセーフティクリアリングハウス(J-BCH)のウェブサイト公表されます。

所管省庁

ゲノム編集技術生物の使い方により、情報提供する省庁が以下のように決まっています。

  • 農林水産省:農林水産物、動物用医薬品
  • 文部科学省:研究のための実験に使用する生物など
  • 経済産業省:工業用品の生産過程で使用する生物など
  • 厚生労働省:医薬品・遺伝子治療に使用する生物など
  • 国税庁:酒類の製造に使用する生物など

※環境省は各省庁に提出された情報の取りまとめを担当しています。


食品としての安全面での取扱いルール

経緯

ゲノム編集技術を応用して作られた食品(ゲノム編集技術応用食品)の取扱いについては、「食品衛生法」で定めている「組換えDNA技術」に当たるかといった観点から、厚生労働省の調査会・調査部会で検討が行われました。その後、2019年3月に報告書が取りまとめられ、パブリックコメント*5を経て、同年9月に取扱要領が決定、同年10月から適用されました。

*5行政機関がルールを新設、改訂、廃案するときに、事前に国民からの意見を求め、その意見を基にルールの再検討を行う制度です。

取扱要領のポイント

ゲノム編集技術応用食品とは

自然界で起こり得るような変異(SDN-1やSDN-2のうち1~数塩基の変異)であり、外部から導入した遺伝子が除かれているものです。

 

図2.食品衛生法におけるゲノム編集技術応用食品の取扱いルール

 

ゲノム編集技術応用食品を市場に出す(販売や流通させる)ためには (図2を参照)

① 開発者はゲノム編集技術応用食品の情報をもとに、厚生労働省と事前相談を行います。

② 事前相談では、開発した食品の概要、アレルゲンや毒性の変化、主要成分の変化に関する情報などにより専門家が組換えDNA技術に当たるかを判断します。

③ ゲノム編集技術応用食品と認められた場合は、厚生労働省へ情報の届出を行い、市場に出すことができます。

④ 届出された情報の一部は厚生労働省のウェブサイトに公表されます。

参考リンク

厚生労働省
「薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会 新開発食品調査部会報告書」(2019.3.27)

「ゲノム編集技術応用食品及び添加物の食品衛生上の取扱要領」(2019.9.19)

 


飼料(家畜のえさ)としての安全面での取扱いルール

経緯

ゲノム編集技術により得られた飼料の取扱いについては、「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(以下、飼料安全法)」で定めている「組換えDNA技術」に当たるかという観点から農林水産省の分科会及び部会において、検討が行われました。その後、パブリックコメントを経て、2020年2月に取扱要領が決定されました。

ゲノム編集技術により得られた飼料の開発者は、農林水産省に事前相談することとなっています。開発した飼料の概要や家畜の健康や家畜を通して人の健康に影響を与えないか、主要成分の変化などの情報により専門家が組換えDNA技術に該当するかが農林水産省によって、判断されます。

届出された情報の一部は農林水産省のウェブサイトに公表されます。

詳細は、以下の取扱要領をご覧ください。

農林水産省(消費・安全局)「届出されたゲノム編集飼料及び飼料添加物一覧」


ゲノム編集技術を応用して作られた食品の表示に関する取扱いルール

一般的に、食品の表示制度を考えるに当たっては、

1. 消費者の意向

2. 表示制度の実行可能性

3. 表示違反の食品の検証可能性

4. 国際的な整合性

を十分に考慮することが必要とされています。

消費者庁では、これらを総合的に考慮しつつ、厚生労働省でゲノム編集技術を応用して作られた食品の取扱要領が定められる2019年夏頃に合わせて表示の方針を検討してきましたが、このたび、消費者庁ホームページにおいて、ゲノム編集技術応用食品の表示にかかる考え方が示されています。

詳しくは、消費者庁「ゲノム編集技術応用食品の表示に関する情報」をご確認ください。

 

(2022年4月22日 改訂)