掲載日:2023.1.12

概要

GEAP3は、ゲノム編集の農業利用に関連するEUの政策や規制対応EU加盟国内外に与える影響について研究を行う国際コンソーシアムさまざまな領域の専門家が農業政策やゲノム編集技術およぼす農業への影響、また市民意識についての検討・調査など行っています。

詳細

GEAP3(Genome Editing and Agricultural Policy, Practice and Public Perceptions)は、ゲノム編集の農業利用に関連するEUの政策や規制対応がEU加盟国内外に与える影響について研究を行う国際コンソーシアムです。

GEAP3の活動は、社会科学者、政策専門家、バイオサイエンスの研究者が参加しており、EUにおける農業政策やアフリカに焦点をあてたゲノム編集技術がおよぼす農業への影響、また市民意識についての検討・調査などの3つの柱からなっています 

1.政策 

EUの規制による国内外への影響を体系的に分析することが、活動の大きな柱となっています。EUの規制(特に、2018年に欧州連合司法裁判所によって示された判断)がEU加盟各国におよぼす影響や、EU加盟各国の規制の調和のあり方におよぼす影響、EUの規制による国際貿易上の課題などについての検討を進めています。また、EUのリスク評価、リスク管理との整合性についても検討されています。 

2.実践 

GEAP3では、ゲノム編集がEU加盟国内外の農業システムに与える実質的な影響についての検討も進めています。特に、農業の持続可能性、レジリエンス(強靭性)、公平性の観点から、ゲノム編集技術が農業システムに与える影響を評価しています。検討を進めるにあたり、現在開発中のゲノム編集作物(褐条病ウイルスに耐性のあるキャッサバ、タンパク質含量を高めたソルガム、耐病性トウモロコシ、耐乾性イネなど)を事例とし、これらが農業システムに与えるプラスの影響を調べています。 

3.市民意識 

GEAP3では、欧州におけるゲノム編集技術に対する市民意識の調査も進めています。この活動では、市民意識をリアルタイムでとらえる方法の開発や、市民がゲノム編集技術について十分に論議を尽くせるよう、科学者が何をすべきかという検討が進められています。 

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  • 著者: 山口 富子(国際基督教大学 教養学部 アーツ・サイエンス学科 教授)
  • 編集協力: 石井 花菜(国際基督教大学)/農研機構 企画戦略本部新技術対策課