ゲノム編集オオムギの野外環境下での実験計画報告書が文科省に受理されました
2024年11月1日、農研機構は、「種子貯蔵タンパク質D-ホルデイン」をゲノム編集技術により改変したオオムギについて、文部科学省が示した手続きに従い実験計画報告書を提出し、2024年10月23日に文部科学省に受理されたことを発表しました。
今回のゲノム編集オオムギの文部科学省への報告は、野外環境下での形質評価等の研究を目的とした栽培実験を行うためのものです。
報告された生物の名称:
種子貯蔵タンパク質 D-ホルデインを改変したゲノム編集オオムギ (系統名: HK11-29N)
栽培予定のほ場:
茨城県つくば市観音台にある農研機構のほ場
使用したゲノム編集技術の種類・導入方法:
技術の種類: CRISPR/Cas9
導入方法: 人工ヌクレアーゼタンパク質を宿主の細胞内に移入
◎詳細は、文部科学省のサイトにある実験計画報告(PDF)をご覧ください。
<補足>
- D-ホルデインとは
種子に蓄積するタンパク質のひとつで、大麦粉の生地物性(粘り気や弾力)に関わります。本ゲノム編集オオムギは、D-ホルデイン遺伝子の塩基配列の一部を欠失したことで、生地の弾性が向上しました。弾性が向上することで生地の加工適性が良くなり、大麦粉を小麦粉のように多様な用途で利用できるようになります。大麦粉を小麦粉とブレンドすれば、水溶性食物繊維(βグルカン)含量の高いパン、麺、菓子などを製造することが可能になります。
- 今後の予定
今回のゲノム編集オオムギの報告は、研究目的の野外栽培実験を行うためのものです。食品や飼料としての利用に向けた消費者庁や農林水産省への届出はまだ行われておらず、すぐに流通段階へと進むわけではありません。今回の報告により、このゲノム編集オオムギがカルタヘナ法の規制対象には該当しないことが確認されましたが、栽培実験を行える場所は栽培実験計画書に記載された圃場のみとなります。