外来DNAをもたないゲノム編集植物作出の効率化
ゲノム編集の適用作物拡大に期待

農研機構、東京大学、龍谷大学の研究グループは、小型のゲノム編集酵素である改変AsCas12fとジャガイモウイルス由来のベクター(PVXベクター)を組み合わせることで、ゲノム編集植物体の作出効率を高めることに成功したと発表しました。

ゲノム編集植物を作出するには、ゲノム編集酵素の遺伝子を植物ゲノムに組み込んでゲノム編集を誘導するのが一般的です。一方、ウイルス由来のベクター(遺伝子の運搬役、ウイルスベクター)にゲノム編集酵素遺伝子を載せる方法では、ゲノム編集酵素遺伝子は植物のゲノムに組み込まれず、ウイルスゲノムの一部として植物細胞内で増殖し、これが細胞間を移行してゲノム編集を起こします。これにより、外来DNAをもたないゲノム編集植物体を得ることができます。

これまでの手法ではゲノム編集酵素はSpCas9を利用していましたが、ゲノム編集植物体を得られる効率が1.6%と低いことが問題でした。これはSpCas9のサイズが大きいことが原因と考えられていました。

そこで、小型でゲノム編集を起こす活性が高いゲノム編集酵素である改変AsCas12fを利用したところ、60%の高効率でゲノム編集植物体を得ることができました。

本成果を応用すれば、外来DNAをもたない効率的かつ簡便なゲノム編集技術をより多くの植物種に適用できると考えられます。

 

◎詳細は、農研機構のプレスリリースをご覧ください。

外来DNAをもたないゲノム編集植物の作出を大幅に効率化(情報公開日:2025年7月1日)

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