ゲノム編集技術により作出された穂発芽しにくいコムギの栽培試験が可能になりました

2021年9月22日、農研機構は、ゲノム編集技術により作出された穂発芽しにくいコムギについて、野外栽培実験に先立つ文部科学省への情報提供(報告)を行い、受理されました。

コムギなどでは、収穫期に雨に濡れると穂についた状態のまま発芽することがあり、これを「穂発芽」といいます。穂発芽したコムギは品質が劣化するため、経済的に大きな損害へとつながります。日本ではコムギの収穫期が梅雨と重なるため、穂発芽により大きな損害が生じることがあり、穂発芽しにくいコムギの開発が求められています。

今回報告が行われたゲノム編集コムギは、農研機構と岡山大学の共同研究により作出されたもので、種子の休眠に関わる遺伝子を改変することにより、収穫期に雨に濡れても発芽しにくい「穂発芽耐性」が向上しています。今回、農研機構は文部科学省が示した手続きに従って、「ゲノム編集技術の利用により得られた生物の使用等に係る実験計画報告書」を提出し、受理されました。

今回の報告は、今年4月に報告が行われたゲノム編集ジャガイモ(天然毒素を減らしたジャガイモ)と同様に、産業利用ではなく研究利用のためのものです。研究利用としては、今年6月にも東京大学からフロリゲン遺伝子をゲノム編集したイネが報告されていて、今回のゲノム編集コムギの報告は3例目となります。なお、産業利用を行うゲノム編集農水産物・食品としては、トマトとマダイの2件がこれまでに監督官庁へ情報提供・届出されています。

今後、農研機構と岡山大学で、このゲノム編集コムギの栽培実験が行われる見通しです。

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