ゲノム編集により作り出された肉厚マダイが厚生労働省と農林水産省に届出・情報提供されました
2021年9月17日、筋肉の発達を抑える「ミオスタチン」の遺伝子をゲノム編集技術により働かなくすることで可食部が増加した「肉厚マダイ」が、ゲノム編集技術を応用した食品として厚生労働省へ届出されました。また、農林水産省にもゲノム編集技術の利用により得られた生物および飼料として、情報提供・届出が行われました。これはゲノム編集技術により開発された魚として、国の手続を経て上市される、世界で初めてのゲノム編集動物食品となります。
ミオスタチンは、人や魚、牛など多くの動物が持つたんぱく質です。この遺伝子に突然変異が起こり、ミオスタチンが作られなくなると、筋肉が発達して筋肉量が増加することが知られています。ヨーロッパで実用化されている筋肉が発達したウシの品種では、ミオスタチンが機能しなくなっていることが分かっています。
この肉厚マダイは、京都大学などからなる研究チームが、科研費などの資金を得て開発したものです。今回、肉厚マダイの届出はリージョナルフィッシュ株式会社(https://regional.fish/)から行われましたが、同社は京都大学・近畿大学などの技術シーズをコアとして設立されたスタートアップ企業です。
厚生労働省は2019年9月、ゲノム編集技術応用食品の取扱いに関する制度を定めました。また、環境省が同年2月に示したゲノム編集生物のカルタヘナ法での取扱方針を受けて、農林水産省も同年10月、ゲノム編集生物の取扱いについて制度を定めました。これまで、昨年12月にゲノム編集技術によりGABAの量を増加させたトマトについて届出・情報提供が行われていますが、今回は、ゲノム編集食品の届け出としては2例目、ゲノム編集技術により開発された魚としては初めてのケースとなります。
※ゲノム編集技術を利用した食品・生物に関する取扱いルールは、下記で解説しています。
【参考リンク】
(厚生労働省)
(農林水産省)
(参考)
(国産ゲノム編集生物)