国際連合食糧農業機関が『Gene editing and agrifood systems』を発行
国際連合食糧農業機関(FAO)が、2022年版の『Gene editing and agrifood systems』(全86ページ)を公開しました。
本誌には、動植物の育種の歴史や遺伝子編集(gene editing)の危険性や利益、環境や社会への影響、規制の状況や農業研究における官民の役割などが記載されています。
FAOのサイト『Gene editing and agrifood systems』に掲載されているPDFをダウンロードすることで原文を読むことができます。
(*以下、追記しました。2023/3/15)
【要約】遺伝子編集と農業食品システム(仮訳)
遺伝子編集(Gene-editing)技術は、低・中所得国における植物・動物育種のための有望な新ツールです。この技術は現在の育種方法よりも精度と効率が向上し、植物や動物の品種改良の迅速な開発につながる可能性があります。
しかし、どのような新しい技術にもメリットとデメリットがあります。
遺伝子編集された生物をどのように規制すべきか、また、その放出が生物多様性条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の規制枠組に入るかどうかについては、まだ国際的な合意が得られていません。
遺伝子編集と農業食品システムに関するこの科学と証拠に基づく課題提起は、人間の飢餓、人間の健康、食品安全、環境への影響、動物福祉、社会経済的影響、利益の分配への影響など、遺伝子編集の最も適切な側面についてバランスのとれた議論を展開しています。本質的な倫理的懸念とガバナンスと規制の問題が取り上げられ、官民が単独、あるいは連携して果たすべき役割がまとめられています。
また、将来的に遺伝子編集がどのように利用され、農業食品システムの変革に貢献するかについて、さまざまなシナリオが提示されています。
<内容>
1. 序章
2. 植物と動物の繁殖の簡略な歴史
要約
植物と動物の繁殖の簡略な歴史
遺伝子編集の原理
遺伝子編集の応用例
3. 遺伝子編集 – 環境と社会に対する潜在的な危険性、利点、および影響
要約
遺伝子編集と人間の飢餓
遺伝子編集と人間の健康
遺伝子編集と環境
遺伝子編集と動物福祉
遺伝子編集、社会経済への影響と利益の分配
遺伝子編集と基本的な倫理的考慮事項
4. ガバナンスと規制
要約
衛生植物検疫規則
国家的アプローチのタイムライン
多国間協定
その他の重要な問題
財産・アクセス・利益の共有
経済介入
5. 官民の役割と変革をもたらすパートナーシップ
要約
公的機関
民間部門
知的財産に関する考慮事項
官民パートナーシップにおける利益相反の特定と管理
6. 今後の見通し (The way forward)
あとがき
参考文献
付録