ゲノム編集技術の開発者にノーベル化学賞
ゲノム編集技術の開発に貢献したフランスとアメリカの女性研究者に2020年のノーベル化学賞が授与されることが発表されました(プレスリリース)。
受賞が決定したのは、フランス国籍を持つドイツのマックス・プランク感染生物学研究所所長のエマニュエル・シャルパンティエ博士(51)と、アメリカのカリフォルニア大学バークレー校のジェニファー・ダウドナ教授(56)です。2氏は、ゲノム上の狙った配列を切断し、その部分の遺伝子に変異を導入することができるCRISPR/Cas9システムを開発し、2012年Science誌に発表しました。このゲノム編集技術は、その簡便さと遺伝子改変の効率の良さから、わずか8年で農水産物の品種改良からガン・遺伝性疾患の治療まで幅広く活用されるようになりました。これらが評価されて受賞に至りました。
他にも、CRISPR/Cas9が動物や植物のような真核細胞で機能することを最初に明らかにした米ブロード研究所のフェン・ジャン(Feng Zhang)博士や、細菌のDNAからCRISPR配列を最初に発見した九州大学の石野良純教授もともに受賞するとの予想もありましたが、結果的に2氏だけの受賞となりました。
なお、日本との関わりとしては、シャルパンティエ・ダウドナ両氏は2017年に日本国際賞(Japan Prize)の生命科学分野を受賞されています。
お二人の受賞を心からお祝いいたします。
参考文献:
Jinek, M. et al. (2012) A programmable dual-RNA–guided DNA endonuclease in adaptive bacterial immunity. Science 337: 816-821. DOI: 10.1126/science.1225829