知的財産の動向

米カリフォルニア大学のゲノム編集に関する2件目の基本特許が日本で成立 ~真核細胞におけるCRISPR/Cas9の利用を非常に広範に支配する基本特許~

【2020年6月18日】

米カリフォルニア大学が、真核細胞におけるCRISPR/Cas9の利用を非常に広範に支配する基本特許を日本で成立させました(特許第6692856号、登録日417日、特許発行日513日)。

カリフォルニア大学はこれまでに、一分子ガイドRNAを中心概念とした基本特許を各国で成立させてきました。今回成立した日本特許は、既に成立している一分子ガイドRNAを中心概念とした日本特許(特許第6343605号)のファミリー特許であり、一分子ガイドRNAか二分子ガイドRNAかに限定されない、より広範な内容となっています(請求項13などに一分子ガイドRNAが、請求項14などに2分子ガイドRNAが規定されていることから、上位概念である請求項1などは、双方を含むと解されます)。さらに、真核細胞で遺伝子を標的化するガイドRNA自体の請求項も含まれています(請求項51など)。

競合相手であるブロード研究所がこれまで成立させた日本特許群は、いずれも比較的限定された内容から成ることを考えると(本サイトの別記事をご参照下さい。https://bio-sta.jp/development/1536/ )、日本では、真核細胞におけるCRISPR/Cas9の利用について、カリフォルニア大学が優勢に立ったと評価できそうです。

とはいえ、成立した日本特許に対しては、特許異議申立てや特許無効審判を行うことが可能であるため、当面、その推移を見守る必要性もあります。