ゲノム編集によりGABAを高めたトマトが厚生労働省と農林水産省に届出・情報提供されました

2020年12月11日、ゲノム編集技術によりGABAの量を増加させたトマトが、ゲノム編集技術を応用した食品として厚生労働省へ届出されました。また同日、ゲノム編集技術の利用により得られた生物として農林水産省へも情報提供書の提出が行われました。これはゲノム編集技術により開発された食品・作物として、国内で届出・情報提供された初めての例となります。

GABA(ギャバ:γ-アミノ酪酸)は、血圧上昇抑制やリラックスに効果がある健康機能性成分です。このGABAの量を増加させたトマトを筑波大学の江面浩教授らのグループが開発し、同大学発のベンチャー企業であるサナテックシード株式会社が商品化を進めています。今回、サナテックシード株式会社によって届出・情報提供が行われました。

厚生労働省は2019年9月、ゲノム編集技術応用食品の取扱いに関する制度を定めました。また、環境省が同年2月に示したゲノム編集生物のカルタヘナ法での取扱方針を受けて、農林水産省も同年10月、ゲノム編集生物の取扱いについて制度を定めました。ゲノム編集技術によりGABAの量を増加させたトマトについて届出・情報提供が行われたことは、このトマトが食品衛生法およびカルタヘナ法上の遺伝子組換えの規制の対象外であることを意味しています。

なお、今回の届出・情報提供が行われても、供給量を確保するためなどに時間を要するため、実際に販売が開始されるのはまだ先になるようです。サナテックシード株式会社では、果実の販売に先立ち、まず希望者向けに家庭菜園用の苗の提供を2021年春から開始する予定です。また、販売する際にはゲノム編集を利用したことを示すマークを表示するとのことです。

【参考リンク】

  • ゲノム編集技術を利用した食品・生物に関する取扱いルールは、次の通り各省庁から公開されています。

厚生労働省

「ゲノム編集技術応用食品等」

「公開届出情報一覧」 

農林水産省

「新たな育種技術を用いて作出された生物の取扱いについて」

「情報提供書が提出された農林水産物の一覧」

「届出されたゲノム編集飼料及び飼料添加物一覧」

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ゲノム編集の取扱いルール

【続報】(2020.12.15 記事内容更新)

サナテックシード株式会社は、厚生労働省への届出および農林水産省への情報提供書を提出しました。

 

(国産ゲノム編集生物)