ゲノム編集により作出された「トラフグ」が厚生労働省と農林水産省に届出・情報提供されました
2021年10月29日、リージョナルフィッシュ株式会社(京都大学・近畿大学などの共同研究による技術シーズをコアとして設立されたスタートアップ企業)によって、食欲を抑えるホルモンのレプチンをゲノム編集で働かなくした「高成長トラフグ」が、ゲノム編集技術を応用した食品として主務官庁の厚生労働省へ届出されました。また、農林水産省にもゲノム編集技術の利用により得られた生物および飼料として、情報提供・届出が行われました。
これは、本年9月に同社により届出されたゲノム編集による「可食部増量マダイ」に続き、国の手続きを経て上市される2例目のゲノム編集による動物食品となります。
レプチンは、食欲、代謝などを制御するホルモンで、細胞膜上にあるレプチン受容体への結合を通じてその作用を発揮します。レプチンにより、食欲の減衰、エネルギー消費が促されます。そのため、逆にこのホルモンを働かなくすれば、食欲が衰えることなく通常より餌を良く食べて速く成長することが可能になります。
届出された生物の名称
「高成長トラフグ」(4D-4D 系統)
国内のゲノム編集生物の取扱いについて
ゲノム編集生物は、生物多様性への影響および食品の安全性の観点から環境省、厚生労働省がそれぞれ規制上の取扱いを決めています。環境省から2019年2月に発表された「ゲノム編集技術の利用により得られた生物であってカルタヘナ法に規定された「遺伝子組換え生物等」に該当しない生物の取扱いについて」を受けて、農林水産省は「ゲノム編集生物の取扱い」について制度を定めました。また、厚生労働省は、食品衛生法に基づき「ゲノム編集技術応用食品の取扱い」に関する制度を定め、同年10月から制度が運用されています。
【参考リンク】(外部リンク)
●ゲノム編集技術を利用した食品・生物に関する取扱いルールは、次の通り各省庁から公開されています。
環境省
「ゲノム編集技術の利用により得られた生物であってカルタヘナ法に規定された「遺伝子組換え生物等」に該当しない生物の取扱いについて」
厚生労働省
「ゲノム編集技術応用食品等」