ゲノム編集「マダイ」と「トラフグ」の追加系統が、厚生労働省と農林水産省に届出・情報提供されました
2022年12月5日、リージョナルフィッシュ株式会社(京都大学大学院農学研究科の木下政人准教授、近畿大学水産研究所の家戸敬太郎教授らによる共同研究で生まれた技術シーズをコアとして設立されたスタートアップ企業 )によって作出された、筋肉の発達を抑えるミオスタチン1)遺伝子をゲノム編集技術により働かなくすることで可食部が増加した「可食部増量マダイ」と、食欲を抑えるホルモンのレプチン2)をゲノム編集技術で働かなくした「高成長トラフグ」の追加系統が、主務官庁の厚生労働省へ届出されました。
また、農林水産省にもゲノム編集技術の利用により得られた生物および飼料として、情報提供・届出が行われました。
届出された食品の追加系統
- 「可食部増量マダイ」2021年9月17日届出系統の追加系統
E361-E90系統、従来品種-B224系統
- 「高成長トラフグ」2021年10月29日届出系統の追加系統
従来系統-4D系統
用語解説
1)ミオスタチン: 人や魚、牛など多くの動物が持つたんぱく質です。この遺伝子に突然変異が起こり、ミオスタチンが作られなくなると、筋肉が発達して筋肉量が増加することが知られています。ヨーロッパで実用化されている筋肉が発達したウシの品種では、ミオスタチンが機能しなくなっていることが分かっています。
2)レプチン: 食欲、代謝などを制御するホルモンで、細胞膜上にあるレプチン受容体への結合を通じてその作用を発揮します。レプチンにより、食欲の減衰、エネルギー消費が促されます。そのため、逆にこのホルモンを働かなくすれば、食欲が衰えることなく通常より餌を良く食べて速く成長することが可能になります。
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(内部リンク)
▶ ゲノム編集により作り出された「肉厚マダイ」が厚生労働省と農林水産省に届出・情報提供されました(2021.9.17)
▶ ゲノム編集により作出された「トラフグ」が厚生労働省と農林水産省に届出・情報提供されました(2021.10.29)
参考リンク
厚生労働省
農林水産省
農林水産技術会議
(国産ゲノム編集生物)