中国が、農業利用に限定したゲノム編集植物の安全評価指針(試行)を発表
2022年1月24日、中華人民共和国農業農村部(日本の農林水産省に該当する部門、以下農業農村部)は、農業利用に限定したゲノム編集植物の安全評価指針(試行)を発表しました。
農業農村部はこれまで、ゲノム編集生物について明確な方針を示していませんでした。
今回、外来遺伝子を導入していないゲノム編集生物のうち、農業生産または農産物の加工に使用される植物およびその製品であるゲノム編集植物については、方針が示されました。遺伝子組換えの指針に比べて、安全性評価が簡素化されたと考えられます。
本指針では、ゲノム編集生物が持つ環境影響および食品安全の起こり得るリスクに応じて、開発者は以下の情報を農業農村部に申請することとなっています。
① 安全性評価に関する包括的なレポート(研究や中間試験の情報の要約を含む)
② 標的遺伝子、ベクター配列の残存、オフターゲットの有無、ゲノム編集植物の特性
③ ゲノム編集植物の3世代以上の標的遺伝子、特性に関する安定性
④ 環境への影響や食品安全に関するデータ
環境への影響や食品安全にリスクを増加させると考えられる場合には、さらに詳細な情報を提供することとなっています。また、外国企業が中国国内でゲノム編集植物を利用する場合には、実験を開始する前に申請を行うこととなっています。
今回の指針は試行であることから、中国におけるゲノム編集に関する規制ルールの動向を見守る必要があると考えられます。
この記事の元となった原文
中国農業農村部「農業用ゲノム編集植物の安全評価指針(試行)」(中国語)(4.9MB)
関連リンク
- 著者:森山 力(農研機構)
- 指導:立川 雅司(東海国立大学機構名古屋大学)
- 編集協力者:農研機構企画戦略本部新技術対策課