●世界各国でゲノム編集について多様な視点、さまざまな方法で、開発者・生産者・消費者など関係者同士のコミュニケーション活動が行われています。ここでは、各国のコミュニケーション活動について、その形式や議題、活動の対象者などを紹介します。
地域別の活動
欧州
CHICによる新しい植物育種技術を用いたチコリの開発及び芸術・科学を結びつけるコミュニケーションツールの実装
【国】
EU
【概要】
CHICは新しい植物育種技術を用いたチコリの開発、コミュニケーションツールの実装を行うプロジェクトです。アートとサイエンスを結び付けたバイオアートを通して、社会問題についてのメッセージを発信し、科学と社会のつながりについての発見が得られる取組が行われています。
(掲載日:2023.7.25)
西イングランド大学・ブリストル校におけるアウトリーチ活動
【国】
英国
【概要】
2006年から2年間、西イングランド大学・ブリストル校で、Meet the Gene Machine(注)という、遺伝医学の倫理をテーマとした、演劇と対話を中心とするアウトリーチ活動が12,000人以上の生徒と教員を対象に行われました。参加した生徒からは、倫理的課題について考える良いきっかけとなった、ファシリテーターがいることにより議論がしやすいなどの感想がありました。
(注)Meet the Gene Machineでは遺伝医学の倫理についての知識の習得のほかに、問題を考える力を養う科学教育のあり方も提案している。
(掲載日:2023.5.10)
英国生化学会と英国遺伝子細胞治療学会によるゲノム編集技術と倫理的課題を学ぶ体験プログラム(Scientific Scissors)
【国】
英国
【概要】
英国生化学会と英国遺伝子細胞治療学会は共同でScientific Scissors(科学のはさみ)と呼ばれる体験プログラムを実施しました。来場者には、ジェンガを用いてCRISPR/Cas9の仕組みを学ぶ “Genetic Jenga” とゲノム編集技術の倫理的課題について研究者や他の来場者と対話を行う “The ethical card game” という学びの場が提供されました。
(掲載日:2023.4.25)
Association for Science and Discovery Centres (ASDC)の体験学習ワークショップ
【国名】
英国
【概要】
英国において科学が身近で価値あるものになるような社会づくりを目指すASDCでは、14-18歳の生徒を対象にDNA抽出やPCR、電気泳動などの体験を通じて、科学への理解・関心を高める活動「Hands-on DNA」を行っています。
(掲載日:2023.1.19)
Genome Editing and Agricultural Policy, Practice and Public Perceptions (GEAP3)の ゲノム編集に関する政策検討や市民意識調査
【国名】
EU
【概要】
GEAP3は、ゲノム編集の農業利用に関連するEUの政策や規制対応がEU加盟国内外に与える影響について研究を行う国際コンソーシアムです。さまざまな領域の専門家が、農業政策やゲノム編集技術がおよぼす農業への影響、また市民意識についての検討・調査などを行っています。
(掲載日:2023.1.12)
「バイオテクノロジー・生物科学研究会議」による市民との対話プログラム
【国名】
英国
【概要】
英国は、新技術の導入が進む一方で、食料システム及び人々に与える影響が懸念されています。特に、ゲノム編集動物の育種は独特な倫理的問題を生む、と英国政府が述べていることから、「バイオテクノロジー・生物科学研究会議(BBSRC)」において、ゲノム編集動物について一般市民を対象とした対話が行われました。
(掲載日:2022.11.29)
北米
CRISPR研究者らによる対話フォーラム(CRISPRcon)
【国】
北米
【概要】
CRISPRconは、研究者が企画するゲノム編集技術をテーマとした対話形式のフォーラムです。研究者、消費者団体、環境保全団体などの様々なステークホルダーがパネリストとして登壇し、ゲノム編集技術の未来について自らの考えを表明し、議論が行われました。一般市民や産業、メディアなどからの参加者により、パネリストとの質疑応答、オンライン投票が実施され、自身のCRISPRに対する価値観を共有しました。
(掲載日:2023.7.25)
遺伝子工学と社会に関する対話プログラムの国際拠点 GESセンター
【国】
北米
【概要】
ノースカロライナ州立大学 Genetic Engineering and Society Centerは、遺伝子工学と社会との関わりについての学際的研究および対話プログラムの国際拠点です。自然科学、人文・社会科学などの研究開発や責任ある研究・イノベーション(RRI)という観点から、さまざまなステークホルダーをつなぐための研究やコミュニケーション活動が行われています。
(掲載日:2023.5.9)
オセアニア
ヒトへのゲノム編集技術の適用に関する市民陪審
【国】
オーストラリア
【概要】
2021年6月、オーストラリアのタスマニア大学 <法と遺伝学センター>は、ヒトへのゲノム編集技術の適用をテーマとする市民陪審を実施しました。市民陪審に選定された市民は、専門家や関係者からの情報提供を受けた後、ヒトへのゲノム編集技術の適用に関する審議を行いました。参加した市民からは、研究開発が適切に管理、規制されていれば、ゲノム編集技術は医療に貢献をもたらす可能性がある、との意見がありました。
(掲載日:2023.7.14)
その他
Science Stories Africaによる科学に関するストーリーテリング
【国】
アフリカ全域(本拠地:ウガンダ)
【概要】
Science Stories Africaは、 “ストーリーテリングによってアフリカの人々の科学に対する認識の向上を目的とした”コミュニケーション・プラットフォームです。ストーリーテリングを用いた一般市民へのアウトリーチ活動とともに、科学者のストーリーテリングのスキル向上のためのトレーニングを行っています。
(掲載日:2023.4.25)